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津軽。

皆さん本読んでます?
雑誌じゃないですよ。本、小説の類です。

僕は本を読むのが苦手です。

たぶん人より読むのが遅いんだろうなぁ。文章が頭ん中で映像化されるよりも先に断念してしまうんです。

そんな僕でも好きな本が何冊かあって、なかでも太宰治の『津軽』は特に好きな一冊。
絵を描いてる途中で疲れちゃった時に読んだりしています。

20140419-165507.jpg人間失格や斜陽やら、どこか陰鬱な暗〜いイメージが多い太宰だけど、この津軽だけは自虐のなかに彼特有のユーモアがあって、あっけらかんとしていて、所々クスっと笑える話になっています。

『津軽』は、1944年5月から3週間にわたり、執筆依頼を受けた太宰が津軽半島を旅行したことを題材にしています。
だから、小説というより、紀行文とか日記に近いのかも…

読みながら津軽人の人情の厚さ、見栄っ張り感はなんとなく沖縄の人にも当てはまる気がします。

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※以下 『津軽』より抜粋
-蟹田病院のSさんの家にて-

【 Sさんのお家へ行つて、その津軽人の本性を暴露した熱狂的な接待振りには、同じ津軽人の私でさへ少しめんくらつた。Sさんは、お家へはひるなり、たてつづけに奥さんに用事を言ひつけるのである。

「おい、東京のお客さんを連れて来たぞ。たうとう連れて来たぞ。これが、そのれいの太宰つて人なんだ。挨拶をせんかい。早く出て来て拝んだらよからう。ついでに、酒だ。いや、酒はもう飲んぢやつたんだ。リンゴ酒を持つて来い。なんだ、一升しか無いのか。少い! もう二升買つて来い。待て。その縁側にかけてある干鱈
ひだらをむしつて、待て、それは金槌
かなづちでたたいてやはらかくしてから、むしらなくちや駄目なものなんだ。

待て、そんな手つきぢやいけない、僕がやる。干鱈をたたくには、こんな工合ひに、こんな工合ひに、あ、痛え、まあ、こんな工合ひだ。おい、醤油を持つて来い。干鱈には醤油をつけなくちや駄目だ。コツプが一つ、いや二つ足りない。早く持つて来い、待て、この茶飲茶碗でもいいか。

さあ、乾盃、乾盃。おうい、もう二升買つて来い、待て、坊やを連れて来い。小説家になれるかどうか、太宰に見てもらふんだ。どうです、この頭の形は、こんなのを、鉢がひらいてゐるといふんでせう。あなたの頭の形に似てゐると思ふんですがね。しめたものです。おい、坊やをあつちへ連れて行け。うるさくてかなはない。お客さんの前に、こんな汚い子を連れて来るなんて、失敬ぢやないか。成金趣味だぞ。早くリンゴ酒を、もう二升。お客さんが逃げてしまふぢやないか。待て、お前はここにゐてサアヴイスをしろ。さあ、みんなにお酌。リンゴ酒は隣りのをばさんに頼んで買つて来てもらへ。をばさんは、砂糖をほしがつてゐたから少しわけてやれ。待て、をばさんにやつちやいかん。東京のお客さんに、うちの砂糖全部お土産に差し上げろ。

いいか、忘れちやいけないよ。全部、差し上げろ。新聞紙で包んでそれから油紙で包んで紐でゆはへて差し上げろ。子供を泣かせちや、いかん。失敬ぢやないか。成金趣味だぞ。貴族つてのはそんなものぢやないんだ。待て。砂糖はお客さんがお帰りの時でいいんだつてば。音楽、音楽。レコードをはじめろ。シユーベルト、シヨパン、バツハ、なんでもいい。音楽を始めろ。待て。なんだ、それは、バツハか。やめろ。うるさくてかなはん。話も何も出来やしない。もつと静かなレコードを掛けろ、待て、食ふものが無くなつた。アンコーのフライを作れ。ソースがわが家の自慢と来てゐる。

果してお客さんのお気に召すかどうか、待て、アンコーのフライとそれから、卵味噌のカヤキを差し上げろ。これは津軽で無ければ食へないものだ。さうだ。卵味噌だ。卵味噌に限る。卵味噌だ。卵味噌だ。」
… 私は決して誇張法を用みて描写してゐるのではない。この疾風怒濤の如き接待は、津軽人の愛情の表現なのである。 】

…沖縄のオバーの家に行った時のカメーカメー(食べなさい食べなさい)攻撃とおんなじです^ – ^

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